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及川徹と岩泉一に関する一考察

漫画『ハイキュー!!』の登場人物である青葉城西高校の及川徹と岩泉一に関して考えたことや思ったことをまとめておくブログです。

阿吽考察 序文

 及川徹の誕生の経緯を考えてみると、影山の壁として用意されたものだと推察される。
 たとえば2巻の練習試合の段階で、及川に与えられた属性は、トス以外の総合力に秀でた天才嫌いのセッターだった。

「へえ お前でも敵わないのかよ」
「トスは…ね トス回しで飛雄に敵う奴県内には居ないんじゃない? まぁサーブもブロックもスパイクも負けないけどね」

2巻16話 岩泉一・及川徹

 精密機械のようなトスの技術がクローズアップされる影山に対して、それ以外の部分において影山を上回り、まともなトス回しをさせない事で影山の前に立ちはだかる壁として予定されていたキャラクターが及川だったのだろう。これは後々方針の変更があったものと思われるが、影山の壁としての意義は継続して持たせていた。

「才能では敵わなくても皆が一番打ちやすいトスを上げられる自信はあるよ セッターとしては負けない」

6巻53話 及川徹

「味方の100%を引き出してこそのセッター」

8巻67話 及川徹

 IHに入ると、総合力をクローズアップされたキャラクターではなく、天才的な技術こそ持ち合わせないが、セッターとしての肝を知り、それを実行できる優秀なキャラクターという、影山に不足しているものをより際立たせるセッター像となっている。そして彼は高校最後の公式戦での対決を終えた今でも、影山に「セッターとは」と問い続ける存在なのだろう。

 その一方で、及川は影山の壁という意義だけではなく、及川自身の物語も持って『ハイキュー!!』という作品の中に存在していた。それが才能との葛藤の物語だった。
 練習試合の段階からIH終盤に至るまで、幾度となく「天才には敵わない」主旨の発言を繰り返し、いずれ天才の前に膝を屈する自己を予見していた。この及川が抱えた葛藤の物語にひとつの結末を与えたのが春高青城戦の「ドンピシャ」のトスだった。
 そしてこのトスはもう1人、別のキャラクターの役割にも結末を与えたと思う。それが岩泉である。

 及川と岩泉、2人の物語にひとつの終わりを告げたこのトスは、『ハイキュー!!』という物語における彼らの関係を非常に端的に集約したものだと思う。この「ドンピシャ」のトスを中心に、彼らの在り方について考えていきたい。


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