読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

及川徹と岩泉一に関する一考察

漫画『ハイキュー!!』の登場人物である青葉城西高校の及川徹と岩泉一に関して考えたことや思ったことをまとめておくブログです。

ハイキュー!! 青葉城西vs伊達工 感想

俺に勝負させろ

岩ちゃんらしさについて
最初に「俺に勝負させろ」を見た時に旭さんの「俺に寄越せ」に似てるけど、ちょっと違うthe 岩泉感と思っていた。
でも考えていくうちに「俺に寄越せ」とは全然違うなと思った。
「俺に寄越せ」と対比する事で岩ちゃんらしさが分かると思ってるのでちょっと対比したい。

「俺に寄越せ」と「俺に勝負させろ」の最大の違いは何かというと、セッターにボールを要求しているかどうかということだ。
「俺に寄越せ」はセッターに対して自分にトスを上げる事を要求している。対して「俺に勝負させろ」とは別に自分にトスを上げる事は要求していない。あくまで「俺にトスを上げるなら俺に任せるようなトスにしろ」と言っているだけなのである。
実際「俺に寄越せ」の後、スガさんは旭さんにトスを上げ、旭さんはそれを決めている。しかし、及川さんは「俺に勝負させろ」の直後のトスは金田一に上げている。

つまり岩ちゃんは及川さんに対して、「誰にトスを上げるかはセッターの領分だが、その先はスパイカーの領分だから俺の好きにやらせろ、お前が判断する事じゃない」と言ってるわけである。


これの何が岩ちゃんらしいか。
まず全然押しつけがましくないところ。
岩ちゃんは基本的に過干渉しない人だと思っている。中学時代及川さんの影山への態度を「1年にカラむんじゃねえ」とあっさりした言葉で終わらせたり、15巻冒頭の126話表紙でも及川さんに制裁を加える事などしないで「嫌なら嫌って言え」程度に留めているあたりからだ。
そしてこの台詞も過干渉せず、そこまではお前の領分、ここからが俺の領分と至極ドライに線引きしているのである。
俺を信じろだとか、俺ならできるだとか、そんな感傷みたいなものが一切ない。
例えば「俺を信じろ」だと暗に「お前俺を信じてないのかよ」のような懐疑を孕んでしまう気もするけれど、「俺に勝負させろ」は及川さんの領分侵犯に抗議しただけで、及川さんが信じてないとかそんな話ではきっとない。あと「俺を信じてくれ」のような嘆願の要素も孕んでしまう気がするけどそんなものも全然ない。
だから及川さんは及川さんの好きにしていい(どこにトス出してもいい)けど、俺も俺の好きにやらせろっていう、押し付けがましさが全くないところ、岩ちゃんです。

次に自分勝手っぽいところ。
いくら領分侵犯があったとはいえ、及川さんだって考えた末の行動だし、別にあのトスは悪手ではなかったんだと思う。入畑監督や溝口コーチの反応見ても、どっちでも悪くないけど岩泉は嫌だったのか、程度の反応だし。
そんな及川さんの気遣いに何を思うでもなく、自分のやりたいようにやりたいっていう自分勝手さ。トス出すなら俺に合わせろよってなかなかオレ様唯我独尊な要求を遠慮なく直球に伝えるところ、岩ちゃんです。

あと不言実行っぽいところ。
旭さんは「次俺に寄越せ 絶対に決める」といった。有言実行だ。対して岩ちゃんは「俺に勝負させろ」だけで、絶対に決めるだとか、俺ならできるだとかそんな事は言わない。
IHでピンチの時も無言で点をもぎ取ってから言葉を発していた。不言実行なところ、岩ちゃんです。

そんなわけでこの「俺に勝負させろ」というたった7文字はどうしようもなく岩泉一だと思って、原作に向かって何をって話なんだけど、岩泉一は岩泉一だったといたく感動した。岩ちゃんカッコいい。

そして上でも言ったけど「俺に勝負させろ」ってとてもドライだと思う。
感情に訴えかける部分が全くない。

ここもまた旭さんの「俺に寄越せ」と対比したい。
旭さんの「俺に寄越せ」はドライさにおいても岩ちゃんの「俺に勝負させろ」と対照的だ。
「俺に寄越せ」はいっそ全部感情に訴えかけているような話だ。旭さんはコートを去るスガさんへの餞別として情でこの台詞を言っている。決められる算段があろうとなかろうとスガさんのために負けられない戦いがそこにある。それに立ち向かう決意。とてもウェットだと思う。

ここまでで「俺に寄越せ」と対比しつつ、岩ちゃんカッコいいって言ってきてるけど、旭さんがカッコよくないかというとまったくそんな事はない。
むしろカッコいい。
このスガさんがコートを去らざるを得ないという局面で彼に花を持たせたい一心で、普段気弱な旭さんが絶対に自分が決めると決意し、そう宣言する姿はカッコいい以外のなにものでもない。
だからそのウェットさとドライさの両方のかっこよさを描いてるハイキューは凄いと思う。

で、旭さんとスガさんのやりとりと比べると本当に岩ちゃんは及川さんにドライで容赦ないなあと思った。岩ちゃんが及川さんに文句つける時ってそこに情に訴えるような部分が全くない気がする。でも、そのドライな文句がなんで生まれるかって考えると、その根底には何かの特別が存在するとしか思えないというのがこの2人の面白いところだ。
だってこのドライさはきっとたとえば矢巾が相手なら発揮されないと思うんだ。

メンタルエース

完成している圧倒的なブロックをどう攻略するかというところで岩ちゃんが技術的にどういうエースなのか明らかになるのかと思った。

岩ちゃんはピンチの時に決めるから、おそらく青城の中ではこいつならなんとかしてくれるという認識があるのではないかと思う。
今までに岩ちゃんは青城にとって精神的なエースであるところは描かれてきたと思っている。
しかし岩ちゃんの技術に触れられたことはあまりない。
パワーがある事と、指先を狙えるうまさがある事がちょろっと触れられているくらいだ。

だからこの鉄壁3枚を前にした時にその技術的な真価が示されるのではないかと思った。

そして本誌が3枚ブロックとの対峙で引きとなった時、岩ちゃんは指先狙う器用さは持ってるから、ブロッカーとしても未熟な描写がある黄金川を狙ってくるだろうと予測していた。

実際起こったこととしてそれは正解だったんだけど、では岩ちゃんがパワー+器用さを持つエースの代名詞になるかというと別にそんなことはなかった。
結局技術的な側面にはほとんど触れられなかったからだ。

でも触れられたかった技術面の代わりに方々から絶賛されてた事がある。
それが「カッコいいこと」だった。

花巻、松川、渡からも称賛の声を貰っていたけど、それに加え烏野のエース&次期エースからもお言葉を貰っていた。
しかも私は田中さんは「カッコいいとはこういうことだ!」っていうカッコいいとは斯くあるべし論がしっかりしている人だと思っているので、そんな田中さんからの「悔しいけどカッコいい」とかもうこれ以上の誉め言葉ないだろうと思った。

そしてこの示された結果から岩ちゃんはどんなエースなのか考えたんだけど、もうひたすらカッコいいエースなんだろうなと思った。
技術とかぶっちゃけどうでもよくて、岩ちゃんにはそのメンタルの強さからくるカッコよさに焦点が当てられたんだろうと。
鉄壁ぶち抜けたのも、パワー+器用さなんて中途半端な特性ではなくて、それを裏打ちする3枚ブロックにも怯まず冷静にぶち抜くメンタルの強さがきっとものを言ったんだろうと思った。

及川さんがネットから離したトスをした時点で黄金川の腕の間は空いていた。岩ちゃんはその時からそこに打ちたかったんだろうな。
その見た目のスゴさに圧倒されないで、きちんと見るとこ見てるのも、本質を見落とさない岩ちゃんらしいなと思った。

岩ちゃんは青城ピンチの時の活躍が多かったけど、ピンチじゃなくてもカッコよかった。
岩ちゃんはメンタルエースだったんだなあ。