及川徹と岩泉一に関する一考察

漫画『ハイキュー!!』の登場人物である青葉城西高校の及川徹と岩泉一に関して考えたことや思ったことをまとめておくブログです。

ハイキュー!! 146話 感想

いってらっしゃい

本編読んでからもう一度表紙の及川さんを見た時にいってらっしゃいって思った。

元々私はどんな一徹コンビが好きかというと、不均衡ニコイチな一徹がどうしようもなく愛しい。
及川さんと岩ちゃんのお互いの主観は間違いなく対等だ。同じレベルにいる。今週読んでなおさらそう思った。
でも客観では明らかにと言っていい程度の差があると思う。外野の認識では青城は及川とそれ以外だ。及川以外は及川に霞んでるけどレベルが高い程度の認識だ。及川以外の名前認識されてるの?って感じだ。あと前にどこかで長々書いたから省略するけど、牛島の認識が客観性高いと思うので「及川以外弱い」もある。岩ちゃんはその及川以外なのである。
この客観の評価が耳に入らないわけないと思うし、耳を塞ぐ二人でもないと思う。この客観はこの客観でどうやってか対等であるという主観と折り合いがついてるんだと思う。

客観のギャップがありながらも、対等で阿吽の呼吸である。
あるいは、岩ちゃんはあくまでモブに近い存在であって、でも及川さんという主要なキャラクターとニコイチ扱いである。
この不均衡なのにニコイチであるっていうのがどうしようもなく愛しいなと思っていた。

IHでは最後まで青城は及川徹のためのチームだった。
春高でそれが変わったと思った。というより変えてきてるな、と思った。
でも今週でやっぱり帰るところは及川徹なんだなあと思った。岩ちゃんの描写は及川さんと対等にはならなかった。岩ちゃんの第一義はやっぱり及川徹のためのだった。
ニコイチだけどやはり及川さんは単体で立つ存在なんだなと。

だからいってらっしゃいと思った。
彼はその客観の評価のまんま前に進むんだろうと思ったから。
「負けるのかもしれないね」を見た時には前に進めるかどうかすら危ぶんでいたんだから本当にその門出が嬉しい。

で、じゃあ岩ちゃんは?という話。

ドンピシャ

ドンピシャを決められないってことはどういうことか。

IH青城戦が幕を閉じた後、日向は謝る影山に「俺に上げたのが間違いだったみたいに言うな」と怒る。あれは日向が正しかったと思う。
影山はこれ以上ないと思った(はずの)相手である日向にこれ以上ないトスを上げた。ドンピシャとはそういうことだ。
なら、責任はスパイカーにある。
IH青城戦第2セットのセットポイントも岩ちゃんは謝り、及川さんは謝らなかった。

ならきっとあのドンピシャが決めきれなかった原因は岩ちゃんにある。

あるといいなあっていう願望だ。

あの球を大地さんや田中さんが拾える理由はやっぱりなかったと思う。
たとえば山口が岩ちゃんのスパイクを根性レシーブした。あれは拾える理由があった。山口は和久南戦で足が動かずレシーブを縁下さんに任せることになった。その後悔がある。だから青城戦では拾えた。
でも大地さんや田中さんに拾える理由が見つからない。
大地さんがレシーブ職人なのも、田中さんが根性あるのも知ってる。でもその地力だけであれが拾えたというのは納得できないんだ。山口の後悔のような文脈をプラスアルファとしてつけてほしいんだ。

だから大地さんが拾えたとか田中さんが拾えたとかいう話ではなくて、誤解を恐れず言えば岩ちゃんが決められなかったって話なんだと思う。だといいなと思う。

一方でドンピシャを決められなかったのはやはり重い。

IHの時に日向がドンピシャを決められなかったのには2つの理由がある。
1つは及川さんが信頼を覚え始めた影山の攻撃パターンを読んだ事。
もう1つは日向が目をつぶっていた事。

じゃあ今回は?というと、烏野側は完全に想定外の攻撃だった。
影山は反応したけど、あれ片手も飛び出してないと思う。全然間に合ってないと思う。相手にまったく邪魔されない攻撃だったと言っていいと思う。

そして別に岩ちゃんは目をつぶるなどのハンディを背負っていない。

日向はあれを受けて目を開ける選択をした。
じゃあ岩ちゃんは何すればいいの?どうすればいいの?
それが見えないのが重い。

及川以外弱いって言われた時にも思ったけど、じゃあ何がダメなのか教えてくれよ!って思う。

でもそこに答えがないのが岩ちゃんなんだろうなあ。

脇キャラであること

古舘先生は岩ちゃんを結局最後まで主要キャラにはしなかったんだなあと思う。
いっそこだわりがありそうだと思う程だ。

昔危惧していたことがある。
岩ちゃんがキャラクターとして独立した描写を見せ始めたら、それはもしかしたら人気等の外部要因で彼の存在意義を変化させてるということになるんじゃないかと。
それくらい古舘先生には岩ちゃんを通じて描きたいことはないんだろうなって思っていた。
岩ちゃんをクローズアップするなら、IHの始まりでどーんと彼をクローズアップすればよかった。2巻との齟齬は出るだろうけど、あの程度の描写からのクローズアップなら連載漫画ならままある事だと思うし、しかも設定だけで言えば本編でもクローズアップされておかしくないくらい盛られていた。及川の相棒で能力も高い。
でも岩ちゃんはやっぱりオマケだった。

春高ではだいぶ岩ちゃんもクローズアップされたと思う。
でも全然危惧していたような形ではなく自然なものだったと思う。青城全体を描くに際して、岩ちゃんも描写が増えた。その程度だった。少なくとも及川さんと並び立つような存在ではない。

岩ちゃんも人気投票10位以内のキャラだ。
ゲームの人気投票でうっかり1位とっちゃうようなキャラだ。

でも古舘先生はやっぱり岩ちゃんをクローズアップする気はないんだろうなと思う。
いっそこだわり感じる。見せ場の作り方から言えば絶対愛されてる部類だと思うからなおさら(古舘先生はどのキャラも愛してると思ってるけど)。

岩ちゃんは最後まで存在の第一義が及川徹のための、なんだろうなと思った。
私は結構それが嬉しいかな。